2026/01/16 19:24
北欧デザインの巨匠、ハンス・J・ウェグナーがデザインした「CH30」は、
1954年に発表されたダイニングチェアです。
いったん製造が途絶え、長らくはヴィンテージ市場でしか出会えない存在でしたが、
2019年にカール・ハンセン&サンによって「CH30P」として復刻されました。

「CH30P」をじっくりと見てみると、ゆったりとした座面と、緩やかに湾曲した背もたれは

「CH30P」をじっくりと見てみると、ゆったりとした座面と、緩やかに湾曲した背もたれは
いずれも丸みを帯びており、全体のフォルムにはどこか可愛らしさがあります。
背もたれはやや後ろに傾いた形状で、身体をやさしく支えてくれます。
肘掛けのないシンプルな形はテーブル周りで場所を取りにくく、
限られたダイニングスペースでも機能性を損なうことなく、
満足度の高い座り心地と使用感をもたらしてくれます。


印象的なのは、後ろ脚と背もたれをつなぐ部分の「埋木(うめき)」のデザインです。
一般的には、ネジで固定したあと、そのネジ穴を丸い木栓で埋めて隠す処理を行います。
しかしウェグナーは、十字形の埋木を用いることで、
単なるネジ穴隠しの処理を、椅子の個性を際立たせるディテールへと昇華させました。

写真の「CH30P "Aerial Edition"」は、CH30の復刻を記念してつくられた日本限定仕様の一脚です。

写真の「CH30P "Aerial Edition"」は、CH30の復刻を記念してつくられた日本限定仕様の一脚です。
英国のテキスタイルデザイナー、エレノア・プリチャードによるファブリックを張り地に用いているのが
大きな特徴です。伝統的な英国の織物技術を受け継ぎながら、
幾何学的なラインが規則正しく配された現代的なテキスタイルは、
控えめでありつつもCH30の精密な造形を静かに引き立ててくれます。
主張しすぎない色合いとリズムのあるパターンがオーク材のフレームと自然に溶け合い、
日常の風景の中で長く付き合っていける一脚に仕上げています。
座り心地から細部の意匠に至るまで、ウェグナーとエレノア・プリチャード、
それぞれのものづくりへの姿勢やデザインへの想いが感じられる一脚と言えるのではないでしょうか。